ある科学者が「ユートピア・マウス」と名前を付けた実験を行った
マウスのための「ユートピア」を作り、マウスの数を増やすために必要なものをすべて揃えました。

それはネズミのための巨大な要塞で、食料、水、子孫繁栄と移動のためのスペースなど、ネズミが必要とするすべてのもので整備されました。
「ユートピア」は2週間ごとに清掃され、捕食者もいないので、ネズミたちは完全な平和と調和の中で暮らすことになりました。
マウスは順調に繁殖をつづけました。
ところが、実験開始から数週間後、マウスの子の多くが生き残れず、親に見捨てられていることに気がつきました。
計算すると96%の子が死んでしまい、生き残ったのは4%だったのです。
数日すると、もう一つ変化が起きました。オスのマウスが繁殖をやめてしまったのです。
そして、そこから本当のカオスが始まったのです。
マウスは、子どもも含めたすべてを攻撃し始めたのです。オスもメスも子供もお互いに攻撃しあい、大虐殺の後、数匹のマウスが生き残りました。
幼いマウスもいなければ、子孫を残すチャンスもありませんでした。

この残酷な実験は、逆説的にも成功したのです。
この動物たちのために地上の楽園を作り、必要なものはすべて揃っていて、足りないものは何もなかったのです。しかし、この完璧なネズミの「ユートピア」は、最終的にはネズミを絶滅させるほどの大虐殺をもたらしたのです。

これはフィクションではなく、実際に行われた実験です。忘れていけないことはマウスは人間の遺伝子を95%携えているということです。

不便益という言葉の意味を考える良い機会ではないでしょうか。