私が子供だった頃、母はいつも忙しくて、解答用紙の添削や次の日の授業の準備に追われていました。私は、よく、他の子はママと遊んでもらえるのに、なんで家のママはボクと遊んでくれないのかなぁ、と思ったものでした。その頃の私はそう無口な子供という訳でもなかったので、しばしば仕事をしている母にしつこくまとわりつきました。そんな時、母はよく私の手のひらに赤インクで花を描いてくれました。それをしてもらうと、その後の数時間は、私は幸せな気分でいられたものでした。
それから20年ほど経ったある日、私は自宅で仕事をしていました。パソコンを使って忙しく働いていると、母が何かと、やかましく言って、仕事の邪魔をしてきました。それで、私が母の手のひらにこれを描いたので、二人で大笑いとなりました。