あるカジノが集客を増やそうということになり、こんなキャンペーンを打った。
目的は新しい顧客層の創出で、お金も時間もあるだろうというマーケティング戦略に基づき60歳以上の女性に絞ったものだった。
「来場者に毎日25USDのチッププレゼントします」
この25USD分のチップがカジノで遊ぶ呼び水となり、カジノ人口が増えるだろうという目算だった。
しかし、この25USD分のチップをもらった人は、ほとんどがそのまま換金し、かえっていく結果になった。

カジノ側はこれでは意味がないと、この政策に条件を追加した。
「25USD分のチップを受け取ったら4時間はカジノに滞在しなければ換金できない」

次の日から、入り口のIDチェックで入場時間も記録されることになったが、対象者は25USD分のチップをもらって、4時間カジノでゆっくりして換金して帰っていくという結果だった。

カジノ側は新しい条件をつける必要があった。
「この25USD分のチップは必ず賭けなければいけない」

そして、キャンペーンで配布するチップは換金できないようにした。

するとキャンペーンの対象者たちは、二人1組で結託して、大小のテーブルにつき、片方が大に、もう一方が小にかけてキャンペーン用のチップを換金できるチップに変えて、二人で分配して4時間カジノに滞在して帰っていくことになった。

カジノはキャンペーンを停止した。

上に政策あれば下に抜け道ありというお話し。