麻浦大橋と呼ばれる橋が韓国の首都ソウルにあります。50年以上にわたってソウルの交通の要としての役割を果たしているこの橋には、長い間ずっと暗い影がまとわりついていました。
そう、ここは自殺の名所だったのです。
そこで、何らかの対策を講じるべきだという判断が2012年に下され、その解決に向けた新たな取り組みが実施されることとなりました。その取り組みの中には「食事はちゃんとれていますか?」、「人生まだまだこれからです」などと書かれたメッセージがライトアップされ、それ以外にも彫刻や人感センサーライトなどが設置されていました。この取り組みにはPR賞や広告賞などが授与されているのですが、本当に効果はあったのでしょうか?
いいえ。
設置から1年後、この橋で自殺する人の数は93人とこれまでの6倍にまで増えていました。その結果、この橋の自殺者の数を減らすためにはもっと真剣な取り組みが必要だという判断が下され、橋には代わりに高い柵が取り付けられるようになったのです。