私の85歳になる祖父はスマホ、アンドロイドの使い方を少しずつ学んでいます。毎日、昼食後に電話をかけてきて、ちゃんと食事をとったか聞いてきます。
祖父「食事は済んだ?まだだったら何か持っていこうか?」
私「大丈夫、サーサ(タミル語でおじいちゃん)。一時間前に食べたから」
毎回同じことを聞くので、電話に出ない時もあります。気分によっては、電話を折り返しかけようという気さえ起こらないこともあります。
ある日の通話の後、祖父も私も「電話を切る」ボタンを押し忘れていました。20秒ほどして気づいた私は、祖父がまだ電話の向こうで待っているか確認しました。
祖父「(祖母に向かって)サンディヤが電話に出てくれたよ!今日は番号を間違えずにちゃんとかけられたんだ。まあとにかく、彼女はご飯を食べたようだ。あとはサヴィとクリッシュ(私の母と弟です)に確認しないと」
祖母「自分の食事を済ませてからでいいでしょう。もう用意しますよ?」
祖父「いやダメだ!まず電話して確認しないと。食べそびれてたらどうするんだ」
これを聞いた私は一瞬固まってしまいました。自分は何も分かっていなかった。誰もがゴールのない競走に放り込まれているような、このせわしない世の中で、自分を差し置いて他人を気づかってくれる人がどれだけいるというのか。
そればかりではありません。私が電話に出ない時、祖父は自分が間違った番号にかけてしまったと思っているのです。
それからは、毎日お昼にかかってくる祖父からの電話には必ず出ています。自分のことだけでも手一杯なのに、私を覚えていてくれる誰かがいる。どんなに落ち込んでいても、私を幸せな気分にしてくれる小さなリマインダーです。