オスマンサンコンの話し


あるところに、働き者のお父さんと、怠け者の3人兄弟が住んでました。

お父さんは毎日せっせと家の畑で働き、遊んでばかりの兄弟を養ってたのですが、ついに病に倒れてしまいます。

死の床でお父さんは子どもたちを枕元に呼び寄せて、こう言いました。

「愛するお前たちのために、お父さんは宝物を残してある。私が死んだら、その宝物で暮らしていきなさい」

今まで優しく、そしてしっかり稼いで養ってくれたお父さんが死んでしまうということで悲しみに暮れる兄弟でしたが、この言葉に驚き、そして喜びます。

「お父さん、そんな宝物を用意してくれてたんだね。ぜひ、その宝物のありかを教えて下さい!」

ところがお父さんはその宝物のありかを口にする前に、力尽きて死んでしまいました。

お葬式を終えて、お父さんのいなくなってしまった家で兄弟は話し合います。

「これからは私達だけで暮らしていかないと」「でも働いたこともないし、働き方もわからない」「お父さんが生きていれば遊んで暮らせるのに。」

そして死の間際のお父さんの言葉を思い出します。

「そうだ、お父さんは宝物を残してあると言っていた。その宝物を見つければ、まだ当分は遊んで暮らせるにちがいない!」

3人は家中を手分けして探しました。来る日も来る日も探しましたが、何日経っても見つけられません。

「そうだ、お父さんは毎日畑仕事をしていたから、畑に隠してあるに違いない!」そう言って、畑も探しました。隅から隅まで土を掘り返し、探しましたが見つかりません。広大な畑を全部掘り起こすのに何日もかかりましたが、それでも見つかりませんでした。

家にも無い。畑にも無い。「あのお父さんが嘘をつくはずがない。でも宝は見つからなかった…」三人は肩を落とします。

ふと気づくと宝を探すために畑は土が掘り起こされ、お父さんが亡くなってから放置されていた畑はしばらくぶりにお父さんが生きていた時のように耕された状態になっていました。3人は試しに家に残っていた作物の種を植えてみました。

しばらく経つと、畑の作物は芽を出し、そうすると三人は嬉しくなってこぞって世話をしました。やがて大きく育ち、たくさんの実や野菜を実らせたのです。広い畑から取れた作物は3人が食べていく分を大きく上回り、市場に行って売ることでお金を得ることもできました。

怠け者だった3人は今は村の誰よりも働き者となり、そして、お父さんの残した宝物がなんであったのかも理解しました。

3人は力を合わせて末永く幸せに暮らしたそうです。