夜が更ける中、都会の病院の中には、ある妊婦の部屋がありました。妊婦の名前はミラ。妊娠6ヶ月の検診でミラの腹の中の赤ちゃんは、ポッター症候群という病気を持っていることがわかったのです。産まれたとしても生きられない子供だと伝え、医者たちは彼女に中絶を進めましたが、ミラの眼差しは固く、断固としてその提案を拒みました。

「彼には使命がある。私はそれを感じています。」ミラはそう言いました。

病院の医師や看護師、さらには友人たちも、ミラの決断を理解できませんでした。彼らの目には、悲劇としか映らなかった。しかし、ミラは自分の直感を信じて、赤ちゃんを出産する決意を固くしました。

遂に、その日が来ました。ミラは部屋で正常に出産するところまでこぎつけました。そして、産まれたのです、ポッター症で肺のない赤ちゃんが。看護婦が赤ちゃんを彼女に手渡しました。ミラは愛しい表情で甘く優しい声をかけ続けましたが、赤ちゃんはどんどん青く冷たくなっていきました。そこにはテレビドラマでよく見るような奇跡的な展開や、命をかけた戦いもありませんでした。数分後、赤ちゃんは動かなくなり、医師は死亡を宣告しました。それは、悲劇としか言いようがありませんでした。

ミラは赤ちゃんに向かって優しい言葉を囁きながら、彼の短い生涯を見守りました。

物語はここで終わりません。
あの赤ちゃんの臓器が、他の7人の赤ちゃんたちの命を救うために使われることとなったのです。
ミラの決断によって、彼女の赤ちゃんは他の多くの赤ちゃんたちに命の光をもたらしました。彼の数分の生涯は、多くの命を救ったのです。

これは実話で2023年9月現在、7人の赤ちゃんは元気に生きているのです。