この言葉をテレビで見るたびに「みにくいアヒルの子」を思い出す。
醜いアヒルの子の絵本を送って読み聞かせてあげたら、どんな気持ちになるのだろうか?と思う。
私は見た目が違う子は白鳥の子の可能性があることを小さい頃教訓として教えられた。

同時に大坂なおみ選手のことも思い出す。
black lives matterの抗議活動をされていたからというのもあるが、私が思い出すのは、2018年9月のこと。
全米オープン決勝、セリーナウィリアムスを破った表彰式で、帽子を目深にかぶり涙を流した姿を思い出す。
詳細はあまりにも有名だろうから省略するが、
試合の最中、セリーナウィリアムス選手はコーチからアドバイスを受けたと主審から注意され、それがきっかけで怒りを制御できなくなり、審判に謝罪を求め、暴言を吐き、ラケットを破壊して、ポイントを失い、ゲームを失い、最終的にはタイトルを失った。
あの日の決勝は全米オープン史上最低な決勝だった。
好ゲームを期待していた観客は試合中だけではおさまらず、表彰式でもブーイングを浴びせ続けた。

そして、大坂なおみ選手の優勝スピーチはこんな言葉から始まった。
「みんな彼女(S・ウィリアムズ)を応援していたのを知っている。
こんな終わり方ですみません。
ただ試合を見てくれてありがとうございます。
本当にありがとう。」

このスピーチは大坂選手の礼儀正しさと報道されたが実はこの時彼女はそのブーイングが自分に向いているのだと思い、表彰式で帽子を目深にかぶり、静かに涙を流してこのスピーチをしたのだった。

一週間後、アメリカのトーク番組「エレンの部屋」でのトークの中でこんなやりとりをしている。
(E=エレン、N=大坂選手)
E あなたは気づいていたかわからないけれど、コートで議論がちょっとあったけど知ってました?
N 知らなかったです。
E 見てない?わかった。何があったか言わせて。セリーナが何回か呼ばれたんだけど、それが起こった時、それはきっと… どう?気が散りました?その時どう思いました?
N ちっちゃい時に、ジロジロ見ないように教わっていたんです、相手が怒ってる時は見てはいけないと教わったので、そうするようにしました。背を向けて自分がやるべきことに集中するようにしました。でも、何が起こってるんだろうってのはちょっと知りたかったってのもあったけど。
E じゃあ何が起こってたか知らなかったの?
N 知らなかったです。
E 聞こえなかったから?
N そうですね。聞こえなかったから、あとそっちを見ていなかったので。でもたくさんの人がざわざわしていたのは聞こえました。だから振り返って見たかったけれど、めちゃくちゃ知りたかったけど我慢しました。

こんなやりとりだ。私はこのやりとりを聞いて、初めて表彰式の彼女の涙とスピーチを理解した。

そして、私はこのエピソードがとても好きだ。
特に「怒っている人を見てはいけない」は小さい時からの教えだったというところが一番好きで、強く共感する。

「怒っている人を見てはいけない、目を背けて自分がやるべきことに集中しなさい」という教訓は、誰もが持っていたほうがいい教訓だと思う。